うちの親父は病気をして声が出ません。そして喉に当てて声のような音を出す電気式人工喉頭の練習を放棄したので、紙に書くことが主な伝達手段ですが、それすら面倒くさがり短い単語はまず書くことはないので口を読むしかありません。
口の動きだけ見てもわかる確率は低く、文脈から言いそうな単語を想像し口の動きと合わせて推測していきます。なので、そんなこと言うわけがないと思う私の盲点を突かれると一向に伝わることがありません。そのうちイライラして書くこともあれば、書かずにキレ散らかしだします。
朝、山菜をいただいて冷蔵庫に入れておいた報告をしました。後に冷蔵庫の「どこにある?」が聞きたかったようですが、私にはその「どこにある?」が伝わりません。親父は料理なんて一切しないから山菜そのものに興味が無いと思い込み、「どこにある?」が予想をしない単語だったわけです。
親父がキレて冷蔵庫に向かったところで何を聞きたいかわかった……というか最初から冷蔵庫って言ってるし冷凍するわけないし野菜室だろうよと思いながら、これだよと山菜を渡してみると数十秒眺めて冷蔵庫に戻しました。
何かを確認したのか何なのかわからないけど、その行為をするための「どこにある?」は読み取れないんですよ。一方的に怒られてこっちはストレスが溜まっただけ。
数文字くらい読み取らんかいと母子が我慢して歩み寄ってばかりで、数文字くらいサッと書けばいいだろと逆にキレる日がいつか来る気がしないでもない。なるべく割り切って消化するようにしているけど、結局ここで吐き出してますしわからないものです。
テレビで電気式人工喉頭を上手に使う人を見て、すごいとうらやましいの感情が沸き立ちましたよ。
では、また次回。