車をバックで駐車するのは日常だし当たり前のようにできても、バックで走行するのは苦手。バックで数十メートル走行する機会ってあまりないですし、慣れていない人が多いと思います。
あまりないバック走行の機会は、雪が積もると訪れます。大きな駐車場は除雪した雪を端に固めるので、迂回路が雪の山で埋まり通れなくなります。駐車スペースを探し奥までいっても、雪で塞がっているから隣に移れずバック走行で戻らざるを得ないわけです。
朝の総合病院の駐車場は雪が積もらなくても争奪戦なのに、雪が降った後だと駐車スペースは減るし、どこが空いているかわからないからくじ引きみたいなものです。ハズレを引くとバック走行の刑をくらいます。
いつも1回はハズしているかもしれません。車が出たタイミングに潜り込めればラッキーです。
バックで走行していると、ハンドルをほとんど動かしていないつもりだけど左右どちらかに寄ったりするので、集中していないとぶつかりそうになります。
バック走行が難しい原因は、「ハンドルの操作でフロントタイヤだけが動く」ことで、運転手が向いている方向はさほど関係がないそうです。
車が前進する際は、フロントタイヤの角度に合わせてリアタイヤの角度が自然と決まります。物理学でいう「安定(stable)」という状態で呼ばれます。
ボールペンの先を指でつかんで、ペンを下にぶらさげた状態で左右に振ると、反対側の先端が自然と手の動きについてくる現象も「安定」と呼べます。
一方で車をバックさせる際は、進行方向がリアタイヤの角度によって決まります。ハンドルを切って動くのはフロントタイヤなので、バックしたい角度でリアタイヤが進むようにフロントタイヤの角度を決めて、ハンドルを操作しなければなりません。
物理学では「不安定(unstable)」と呼ばれているもので、手のひらに傘を立てて垂直状態を保つ動きと似ています。手のひらに傘を立てるには、傘の動きを目で捉えながら手先の動きに常に反応し軌道修正する必要があり、バランスをとるのが難しいはず。
真っすぐ進んで、真っすぐ下がっているつもりでも、リアタイヤの角度次第であらぬ方向に曲がっていってしまうのは、不安定だからということらしい。
不安定ということがわかっただけで、バック走行に気をつけろというのは結局変わらないみたいです。
親父の診察が終わるまでは車の中で本を読んで待っているけど、何台も前を通ってはバックで戻っていくのを見ると、不安定な思いをしているのかと申し訳ない感じになります。
たまにすごいスピードでバックする車をみかけるけど、上手いのか慣れなのか怖いもの知らずなのか。
では、また次回。